代替タンパク質への取組み 4
Future Protein NL 4


III. 私たちの取り組み
Future Protein NL の5つの要素
エコシステムの構築
2.イノベーション
新しい技術、材料、コンセプト
革新的な国オランダ。研究開発(R&D)を、実際に機能する製品や業界にまで育て上げることにかけてはエキスパートと言っても過言ではありません。価値あるものでも市場にまで到達できないというケースはよくあります。アイデアやイノベーションを市場化する際、以下に記すような重要要素はいくつかありますが、オランダにはそれらすべてが揃っています。
- ・食品の安全性や製品開発などの分野における質の高い基礎研究は欠かせません。賞味期限やパッケージなどの実用的な問題も重要です。
- ・トップセクターにおける行為者(研究者、起業家など)との強いつながりが緊密な協働を可能にします。民間企業、行政関係者、研究機関が共通の目的に取り組みます。
- ・オランダの企業はビジネスセンスに長けています。優れたビジネス環境のおかげで企業は繁栄し、スタートアップからスケールアップ、大企業へと成長し、新しいアイデアをうまく市場に投入することができるのです。
- ・企業は卓越した物流インフラと欧州における有利な立地を生かし、原材料を効率的に生産して、欧州内外の消費者に届けることができます。
このチャプターでは、すでに市場化された先駆的な技術、材料、コンセプトの例をいくつかご紹介します。
- 1.陸や海で生産されるタンパク質:De Nieuwe Melkboer、The Dutch Weed Burger、Seamore、Zeewaar
- 2.マイコプロテイン(菌類)、海藻、細胞農業によって生産されるタンパク質:Avebe、Duplaco、ENOUGH、Fumi Ingredients、Lgem、Meatable、Monkeys by the Sea、Phycom、Mosa Meat、The Protein Brewery、Those Vegan Cowboys
- 3.昆虫由来のタンパク質:InsectoCycle、Ÿnsect(旧 Protifarm)、Protix
学生からスタートアップまで
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老舗企業の新しいソリューション
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タンパク質を含む植物のスピード育種
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効率的なタンパク質を世界に届けたい
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微細藻類は高品質で増産可能な未来のタンパク質
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未来の食糧を発酵
循環する未来を実現する鍵
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肉好きが使命を担う
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3.企業
起業への強い意欲
オランダには、進出する企業が革新的に繁栄し、スタートアップは規模を拡大、影響力のある強い企業へと成長することができるビジネス環境があります。
- ・IMD世界競争力年鑑(2021) : 4 位
- ・グローバル・イノベーション・イン デックス(2021) : 6 位
- ・EF EPI英語能力指数(2021):1位
- ・デジタル経済社会指標(2021) : 4 位
- ・世界幸福度ランキング(2021):5位
オランダには、総計400万社を超える企業が存在し(成人人口は約1,400万人)、スターアップ、スケールアップ、大手企業が混在しています。多くのオランダ企業は50 ~100年にも及ぶ歴史を持ち、中でもタンパ ク質移行に積極的な企業は250社以上あります。スタートアップが大規模な業界と、あるいはノベルフードが従来の食品と効果的に協働することが可能です。大学では、経済学、商学、経営学など250以上ものプログラムがあり、そこでは優秀な若者たちが起業スキルを学んでいます。
オランダ経済・気候政策省 企業誘致局 (NFIA) は政府実務機関として、過去40年以上にわたり、世界50カ国からやってくる多国籍企業の皆様の欧州での事業拡大をサポートしてまいりました。その社数はなんと約5,000社にものぼります。オランダの大使館や領事館に28のオフィスを構え、オランダでチャンスをつかもうとする外国企業の窓口となっています。
現実的なフードイノベーションを促進
工場への投資


4.ブランディング
バランスの取れた食生活へと消費者を導く
消費者との関係を築き、固定客を確保する上で、「ブランド」の構築は不可欠です。ブランドは、代替タンパク質に視覚的な存在感を与えただけでなく、多くの消費者の考え方を一変させました。
2000年代前半まで、代替タンパク質(動物性の肉・乳製品・魚介類・卵の代替製品)を消費するのは、ほとんどが菜食主義者でした。しかし、その「美味しさ」を宣伝するブランドの登場で、多くの肉好きやフレキシタリアンも代替タンパク質に注目するようになりました。代替タンパク質に対する消費者のイメージを「まずい」から「おしゃれ」に変えたのは、ブランドの大きな功績です。
オランダからは、国際的に成功したブランドやクリエイティブなコンセプトがいくつも誕生しました。また、オランダの消費者は代替タンパク質を積極的に受け入れ、食生活に取り入れています。国民1人あたりの代替肉消費量は欧州最大です(ProVeg、2021)。
人気の(グローバル)コンシューマーブランドの例:
- BOON
豆を原料とするミートパティ、ナゲット、ミートボール、ソーセージを提供。
- The Dutch Weed Burger
オランダの画期的ブランド。オランダ産の海藻を原料とするミートパティやソーセージ類を展開。
- The Vegetarian Butcher
大豆、ルピナス、各種の野菜を原料とする代替肉を販売。
菜食主義者向けベーコン、ミートボール、ミンチ、パティ、鶏肉製品、ソーセージなど。 - Schouten Europe
1990年代から植物性の代替肉を生産するオランダの有名ブランド。
- Albert Heijn, Jumbo(Veggie Chef), Lidl
小売業者の独自ブランド。
- SoFine Foods
1963年から植物性製品を生産。2006年にAlproが買収。
- Upfield傘下の有名ブランド
Violife、 Flora、Rama、Blue Band、Proactiv、Becel、Country Crock。
- Vivera
2018年に世界初のヴィーガンステーキを発売。
- Willicroft(植物性チーズ)
アムステルダムに本社を持つスタートアップ。チーズ好きのための植物性チーズを開発。
牛を介さず製品を作る
植物性製品のパイオニア
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植物性スプレッドを世界へ
小売業者の重要な役割
オランダの消費者の間では動物性タンパク質の消費量を減らすことで
環境への影響を軽減したいという意欲が高まっていることがわかります。
Albert Heijnはオランダのスーパーマーケットに 菜食主義者向けの製品群や
惣菜を最も豊富に取り揃えることでこれに対応しています。
Albert Heijn
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有機食品と地場産品でバランスを取り戻す
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植物性の食生活を手頃な価格で気軽に
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出典:オランダ農業・自然・食品品質省